2009.08.23 (日)

手塚治虫 知られざる天才の苦悩

鹿児島へと向かう飛行機の中で『手塚治虫 知られざる天才の苦悩』という本を読みました。手塚治虫の偉大さを息子の視点から存分に堪能しました。その後ネットを覗くと折しも手塚治虫が話題になっていました。手塚治虫はたいしたことないという論です。世間の評価とはまるで正反対の言説です。

個々の作品だけを比べれば、手塚治虫を超えるような作家の作品はたくさんあるでしょう。それは理解できます。しかしその論者はそういう狭い視野でしか物事を考えられないんでしょうね。ここまで何もかもが最初からそろっている時代に生まれてしまうと逆に見えないものもあるってことです。 何もないところから新しい分野を生み出すことのがどんなにすごいことなのか、想像力が及ばないのでしょう。道の無いところに道を切り開くのは誰にでもできることではありません。しかしすでに道が引かれた状態では簡単に見えてしまうんですよね。見たことがあるものをちょっとよくすることと、見たこともないものを生み出すことは天と地の差があります。

手塚治虫は漫画に自由な表現力を与えました。その後の作家はその土俵に乗っかってバリエーションを増やしているに過ぎません。ビートルズについても同じことが言えます。ビートルズはそれまでの型にはまった音楽から自由自在な音楽へと進化させました。現代の作品と個々に比べてみるだけではその価値の大きさはわからないのです。

世の中をわかったつもりでまるで見えていない件の論者は、最初からなんでもそろっている時代に育ってしまった故に永遠に未熟なままで成熟できない感性を携えて生きていくんでしょうね。

手塚治虫 知られざる天才の苦悩 (アスキー新書 111)
手塚 眞


アスキー・メディアワークス ()
¥ 780
ISBN: 4048677993
   

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