2009.09.23 (水)

おくりびと

映画『おくりびと』を見ました。つい先日父を見送ったばかりなので、とても身近なテーマとして見ることができました。そうでなければ、ふーん、そんな職業もあるんだ、くらいの薄い感想しか持てなかったと思います。

作中で納棺士の仕事が、あたかも罰か何かのような、あるいは恥ずべき仕事であるかのように世間的には思われている描写がありました。仕事ぶりを目の当たりにすることで決して卑しい仕事などではないことを理解されるのですが、世の中では実際にそういう思い込みはあるんだろうと思います。

私の父が亡くなった時、私自身も湯灌を手伝い体を洗いました。弟が髭を剃りました。口や鼻などの穴に綿を詰めるのを見てました。昔はそういうことを全部家族がやっていたそうです。実際に遺体を前にして自ら体験した経験から感じたのは、遺体を清め、旅立つ支度を整えてあげることは、非常に神聖で荘厳なことだということです。亡くなった人自身の尊厳を最後まできちんと尊重すること、残された人から亡くなった人への思いや悲しみを静かに受け止めること、そしていつまでも後を引かないようにけじめをつけること、そういった諸々のことをきちんと誠実に淡々とこなすのは、仕事として割り切って行えるものではないと思います。自らの使命として行っているのだと思います。だからこそ、彼らの振る舞いはとても折り目正しくぴしっとしています。主役の本木くんはこの仕事の意味を理解するにつれて次第に背筋がぴんと伸びて姿勢がよくなっていく様子を見事に演じていました。

死は誰にでも訪れます。自分の身近な人にも必ずやってきます。その日が来たら、どんな風に見送ればいいのか、考えさせられます。 そして死は自分にもいつかは訪れます。その時どんな風に見送られたいのか。考えてしまいます。 死や死体が日常から切り離されている現代においては、こういう映画が考えるきっかけを与えてくれるのは素晴らしいことだと思います。

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